岸辺 露伴 ルーヴル へ 行く。 楽天ブックス: 岸辺露伴は戯れない 短編小説集

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(前編)

岸辺 露伴 ルーヴル へ 行く

ただ、「漫画」として読むと、ちょっと違うな、という印象はある。 以下、ネタバレ有り。 そしてとても長い。 ご注意を。 初めに断っておくが、僕はそれなりに日本の漫画を読んでいるつもりだけれど、バンド・デシネなんて聞いた事もなかったし芸術に造詣が深いわけでもない。 本作は、ルーヴルに所蔵されている彫刻や絵画を知っている人が見れば「 あ、このポーズ(or構図)はあの作品のオマージュだな」と気付くような仕掛けが随所に施されているが、残念ながらそういう楽しみ方は僕には紹介できないという事だ(巻末の作品解説で、一部は紹介されている)。 いいじゃん、 ジョジョ立ちって事で。 前置き終わり。 漫画として読むと? (分かりやすい) オチがない。 笑い的な意味ではなく、事件の解決という意味で。 露伴は問題の絵が安置されている部屋から逃れ出た。 絵を確かに見て、その正体を知ったけれども、その絵を自身の手で処分したり持ち出したりしたわけではない。 敵と出会ったけれども、逃げて、それだけ。 だのに、「やっと今解放されたのだ」と露伴は事件の解決を告げる。 おいおい、ちょっと待てよ、というわけだ。 解決は分かりやすい形で示されていない。 露伴の心の中に、そして読者の解釈の中に、解決はひっそりと隠されている。 そういうやり口は日本でも決して珍しくはない(個人的にはエヴァンゲリオンがこれを 「アリ」にした感がある)けれど、少なくともこれまでのジョジョでそういう幕引きはなかったし、他の多くのケースでもスタンダードではない筈だ。 という訳で、普通に漫画として読むと、腑に落ちない感が残ってしまう。 奈々瀬が陥った闇 難解さが芸術性を高めるかのような誤解は唾棄すべきと思うけれども、難解なパズルを解きにかかるのは楽しい。 以下、僕の解釈によるこの事件の解決編である。 読み解く為のキーワード。 ルーヴルの闇(何が潜んでいるのか分からない)• 闇に封じられた芸術と作者の怨念• 家系に受け継がれる後悔と死の記憶 巻末の解説から見ても、作者は明らかにルーヴルの暗部に注目している。 別に悪い意味ではなく、単に人の目に触れない部分という意味で。 そこにも作品はある。 どこかの誰かが全霊を込めた作品が、ひっそりと眠っている。 その作者は恨まずにいられるだろうか? しかし仁左右衛門の場合は、たまたま木の中に棲んでいた人の過去の後悔を暴くような能力を持った蟲によって、不幸な作品に終着してしまう。 人に見てもらいたいという妄執を抱えながら、見る者を全て殺すという、矛盾に満ちた絵だ。 露伴は能力を駆使して命からがら逃れ得たが、基本的に この絵を見て生き残る方法はない。 先祖が居ない人間などいないし、先祖が死んでない人間もいないのだから。 この不幸な邂逅によって、仁左右衛門と奈々瀬は出口のない無限ループに陥ってしまったのだ。 但しループを抜け出る方法は簡単だ。 そもそも「自分が全力で描いた絵が誰にも見てもらえない事が恨めしい」が出発点なのだから、 誰かが絵を見ればいい。 生きたままで。 そこが難しいのだが。 変心 奈々瀬は、無限ループを抜け出す為に助けを呼ぶことにした。 とはいえ奈々瀬は既に死んでいる。 できる事と言えば、絵が(顔料が)持っている家系の記憶を辿る力を使って、現在生きている子孫に呼びかける事くらいだったのだろう。 ジョジョ読者にはお馴染みの法則だ。 そして彼女は露伴と出会った。 元より、露伴が絵を見て生き残れる保証はどこにもない。 もし失敗すれば、奈々瀬はただ自身の遠い血縁を呼び出して殺した事になってしまう。 それでも、自身の目的の為、奈々瀬は露伴に「邪悪な絵」の話を伝え、ルーヴルへ誘う。 ところが、露伴もまた絵の世界で生きる人間だった。 しかも未だ芽の出ていない、これから世界に羽ばたこうとしている人間だった。 奈々瀬は決断する。 露伴がはっきりと失恋し、自分を忘れるように。 彼が彼自身の人生を歩めるようにと(その目論見は失敗し、違う形で露伴を助けるけれども)。 謎めいた、涙を流しながらも力強い奈々瀬の肖像。 それは、 薄暗い穴蔵の底で夫を慰めながら永劫を過ごす事を覚悟した貌ではないか。 ルーヴルでも絵の存在は忘れ果てられ、最近は人を殺してしまう事も減っていたのだろうし。 そして露伴は絵を見て生還し、奈々瀬の意図を理解した。 これにより仁左右衛門の妄執は解かれたのだ。 ジョジョとして読むと(濃厚注意) 岸辺露伴=ヘブンズ・ドアーは、自身の記憶を一時的に消すことで、過去からの攻撃を無力化した。 しかしそれでは絵に対して攻撃できなくなってしまい、逃げるしかなかった。 他のスタンド使い達がこの絵に遭遇したらどうなるだろう? 吉良吉影=キラークイーンは猫草=ストレイ・キャットの力を借りれば有望株だ。 絵を見る事なく爆破できる。 部屋の外から絵の位置を知る方法があれば、という前提がつくが。 吉影といえば、父親の吉廣=アトム・ハート・ファーザーがこの絵を見るとどうなるのだろう?幽霊への効果の程は謎である。 もし幽霊に効果がないなら、このトリオで確実に爆破できよう。 記憶と精神がある以上、無理っぽいが。 ディアボロ=キング・クリムゾンもプッチ神父=メイド・イン・ヘブン(含ホワイトスネイク)も、ディオと同様の理由で望み薄だ。 時間操作系は、結局相手を直接打撃しなければならない点が厳しい。 逆に遠距離系と自動操作系は有望株が多そうだ。 絵の位置を特定する方法だけが問題だが。 メローネ=ベイビィ・フェイスあたりは負ける気がしない。 チート性能のジョルノ=GE・Rはどうなるのか想像がつかないので放棄する。 なんとか 近づいて殴る方法はないか? ノトーリアス・B・I・Gは精神がないという点でいけそうだが、 絵は動かないので攻撃できまい(シュールな絵面だ)。 ジェイル・ハウス・ロックをかけて貰った状態で絵を見れば、 色々な後悔の像が浮かんでは消えていくという変則技も考えたが、やはり攻撃できない。 話が大分戻るが、最強生物カーズ様はどうなるだろう?肉体的な意味ではなく精神的な意味で、 彼は過去に殺した人に対する後悔なんぞ持っていないように見える。 こういう精神のありよう(俺様が食物連鎖の頂点!)なら、案外誰でも大丈夫なのかも知れない。 ただ、 そこまでぶっとんだ精神に達しているのはカーズ様くらいだろうと思う。 比較的いけそうなのはチョコラータか。 まとめ 前項ではしゃぎ過ぎた感はあるが、まとめると、• 普通の漫画とはちょっと違う方法論で描かれている事は意識すべき• 具体的には、コマが大きめで台詞が限定的な傾向がある• 読んで理解するというより、観て想像し、共感していく仕掛け• ストーリーつきのイラスト集、とまで言うと言い過ぎだが、そういう方向性• 漫画を小説と喩えるなら、本作は映画に喩えられる感じ といった所。 面白い読書体験だった。

次の

岸辺露伴 グッチへ行く

岸辺 露伴 ルーヴル へ 行く

投稿者: muneyuki - たとえ一般的に「変」でも、全く本人は変とは思わない。 変じゃない。 むしろカッコいいと思ってる。 そうした作者と登場人物の強力な思い込みっぷり、強力な自分ワールドの形成感。 突き抜けた変態は、英雄を匂わせるのです。 本作はそんなジョジョの、ルーヴルの協力によって出来たスピンオフマンガ。 そして、漫画誌の単行本では通常有り得ない、全ページフルカラー。 これがまた漫画自体にかなり印象的に効果を与えていて、 「えっ」と一瞬思考が止まる瞬間、「何だって」と何かに気付く瞬間、ただ押し黙って呆然とする瞬間が描かれる際に、 コマ全体、もしくはキャラクターが『白抜き』で描かれるのです。 僕達が実際に生きていて色を失う瞬間を、白抜きで表現する、というフルカラーじゃないと出来ない演出。 シーン毎の色合いの変化による演出にも、 フルカラーであることの喜びを噛みしめさせられます。 またジョジョ作中では漫画家である岸部露伴が、ルーヴルを取材の為に訪れるというストーリーですが、実際に綿密にルーヴルとの連携が行われた成果が至る所に伺えます。 通常の閲覧室の様子、バックヤードの風景、そこに向かうまでの通路や内装の細々した部分。 ルーヴル美術館に行った事の無い僕の様な人間は勿論の事、 行った事のある人でも「あぁ、こんな場所が在るんだ」「美術館の裏側ってこうなってるんだ」と まるで美術館の「お仕事」を見学しているような雰囲気が味わえます。 本編と比べると短編ながらも、きちんとジョジョらしい 「な…何を言っているのか分からねーと思うが 俺も何をされたのか分からなかった…」 という不条理な恐怖と、人間賛歌とが盛り込まれていて、 ジョジョのスピンオフとしても、一個の漫画作品としても非常に楽しめる内容でした。 こうした「マンガスタイル」のまま、ルーヴルに飾られた、というのは村上隆が海外で評価されるよりもずっと、一人の日本人として、漫画ファンとして嬉しく思います。 投稿者: 晶 - ジョジョは、小・中学生の頃(連載が始まった頃でした)画が苦手で敬遠して以来です。 偶然四期のアニメを見て、岸辺露伴を初めて知り、その色彩やキャラクター、スタンドの設定にも惹かれ、初めて本作に深く触れることとなりました。 ルーブルNo. 9の展覧会にも足を運びました。 表紙に惹かれ、本作は購入しました。 このキャラクターの特異性と普通さが、世界観に幅を持たせ、この本も単独のストーリーとして違和感なく(ちょろっと出てくる丈助たちが、本編に一瞬引き戻してくれる感じも、効果的で)さらに露伴を魅力的に感じさせてくれる一冊です。 全編カラーで読むことが出来るのも魅力で、装丁も良く、是非手元に置いて頂きたいです。 投稿者: honyomi - あまり商品説明を見ずに買ってしまったので、サイズにまずビックリ。 大きい!普通のコミックサイズだと思ってました。 読み始めて、「最初の方はカラーなんだ」と思ってたら、どこまで読んでもカラーページが終わらないので、またビックリ。 まさかのフルカラー! 露伴先生、友だちにはなりたくないけど、ジョジョシリーズの中でも非常に好きなキャラクターです。 彼の少年時代、具体的には17歳の頃の回想シーンがあります。 その頃からヘブンズ・ドアーを使えたんですね。 あと、頭のギザギザのやつもつけてたんですね。 今作には仗助、億泰、康一らしき人物も出ていますが、もうほとんどオマケ扱いです。 色使いも非常に綺麗です。 普段のジョジョみたいに空が黄色、とかそこまで奇妙ではありませんが、映画のように、絵にセピアやピンクのフィルムでも貼り付けたかのような感じ、とでも言いましょうか。 スタンド、という言葉が出てこなかった気がします。 能力は使いますが。 ジョジョシリーズや露伴先生を知らない人への配慮かもしれませんね。 最後にあとがきのようなものがあり、ここもカラーです。 ページ数の割にちょっと高額だなと思われる方もいるでしょうが、表紙がエンボス加工のようにしてあったり、中身がフルカラーであったり、装丁にもこだわりを感じます。 シリーズのファンなら、ぜひ一度、手にとってみて下さい。 投稿者: ちーちゃん - 『買わずにはいられないっ!』と購入しましたが、マンガとして面白いかと言われると微妙でした。 ただ、荒木先生の色遣いが好きなので、フルカラーで読めるのはディモールトベネ!日本のシーンはセピア色ベース、フランスのシーンはピンクベース、ルーブルの地下に入ってからは青緑色ベースの色遣いとなっていて、フルカラーにも関わらず色がガチャガチャしていなくて読みやすい。 この辺が流石だなぁと思います。 ストーリーは『理不尽さを感じてモヤモヤするホラー』という感じ。 前述の通り、私はマンガとしてはイマイチと感じましたが、アートとして捉えると『モヤモヤするホラー』はアリアリアリアリなのかもしれません。 日本のマンガを読み慣れていない、アートを求めている層にはしっくりくるのかも。 その辺も計算してのストーリーだとするとホントにスゴイですよね。

次の

【ジョジョ4部】岸部露伴は動かない!叫ばない!ルーヴルへ行く!ヘブンズ・ドアーはチート級⁉

岸辺 露伴 ルーヴル へ 行く

日本の漫画とルーヴル美術館のコラボレーション フランスは日本の漫画を高く評価し、層の厚い「マンガファン」がいることで知られています。 事実、フランスは日本に次ぐ、世界第2位の日本の漫画の消費国。 この作品は、ルーヴル美術館とフュチュロポリス社が共同で展開する「プロジェクト」の一環として、日仏両国で出版されました。 この「BDプロジェクト」とは、BDを通じてルーヴルの魅力を伝えようという試み。 フランス国内外の作家に、ルーヴルを題材にしたBDの制作を依頼するというもので、現在までに5冊の単行本が出版されています。 荒木氏といえば、現在も連載中の『ジョジョの奇妙な冒険』の作者として知られていますが、本書の表題となっている岸辺露伴も、「ジョジョ」シリーズの登場人物。 〈人を「本」にしてその人物の人生を読む〉という特殊能力を持つ漫画家で、本書では、ルーヴルに所蔵されているという謎の絵を追う主人公です。 露伴の知られざる過去が明らかにされているのも、「ジョジョ」ファンにはうれしいポイントです。 また、西洋美術の作品にヒントを得た登場人物たちの独自のポージングは荒木作品の特徴ですが、今回はルーヴルの所蔵作品から着想を得たポーズが随所に登場するので、それを探しながら読むのも本書の楽しみ方のひとつでしょう。 普通は決して見ることのできない、ルーヴル美術館の裏側が克明に描かれているのは、荒木氏自らが行った現地取材の賜物です。 日本語版の巻末には荒木氏のインタヴューを含む、制作秘話も収録されています。 MMFインフォメーション・センターでは、本書の日本語版、フランス語版の両方が揃うので、読み比べてみてはいかがでしょうか。

次の