カミュ ペスト 青空 文庫。 ペスト (小説)

カミュ『ペスト』だけじゃない 要再注目!いま自宅で読みたい本はコレだ 【対談:岡崎武志氏×永江朗氏】(中央公論)

カミュ ペスト 青空 文庫

発表されるや爆発的な熱狂をもって迎えられた、 『異邦人』に続くカミュの小説第二作。 アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。 ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。 外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡々と描くことで、人間性を蝕む「不条理」と直面した時に示される人間の諸相や、過ぎ去ったばかりの対ナチス闘争での体験を寓意的に描き込み圧倒的共感を呼んだ長編。 通常というには少々けたはずれの事件なのに、起った場所がそれにふさわしくないというのが一般の意見である。 最初見た眼には、オランはなるほど通常の町であり、アルジェリア海岸におけるフランスの一県庁所在地以上の何ものでもない。 町それ自身、なんとしても、みすぼらしい町といわねばならぬ。 見たところただ平穏な町であり、地球上どこにでもある他の多くの商業都市と違っている点に気づくためには、多少の時日を要する。 本書「解説」より ペストに襲われ、外部とまったく遮断された一都市のなかで悪疫と戦う市民たちの記録という体裁をとったこの物語において、ペストの害毒はあらゆる種類の人生の悪の象徴として感じとられることができる。 死や病や苦痛など、人生の根源的な不条理をそれに置きかえてみることもできれば、人間内部の悪徳や弱さや、あるいは貧苦、戦争、全体主義などの政治悪の象徴をそこに見いだすこともできよう。 たしかにこの作品はそういうふうに書かれており、そしてなによりも、終ったばかりの戦争のなまなましい体験が、読者にとってこの象徴をほとんど象徴に感じさせないほどの迫力あるものにし、それがこの作品の大きな成功の理由となったことは疑いがない。 フランス人入植者の父が幼時に戦死、不自由な子供時代を送る。 高等中学 リセ の師の影響で文学に目覚める。 アルジェ大学卒業後、新聞記者となり、第2次大戦時は反戦記事を書き活躍。 またアマチュア劇団の活動に情熱を注ぐ。 1942年『異邦人』が絶賛され、『ペスト』『カリギュラ』等で地位を固めるが、1951年『反抗的人間』を巡りサルトルと論争し、次第に孤立。 以後、持病の肺病と闘いつつ、『転落』等を発表。 1957年ノーベル文学賞受賞。 1960年1月パリ近郊において交通事故で死亡。 宮崎嶺雄 1908-1980 東京生れ。 東京帝大心理学科中退。 岸田国士に師事、バルザック、サンド、メリメ、カミュ等、多くの仏文学を翻訳紹介。 1941年、フランス文学賞受賞。 戦後創元社編集長を務めた。 アルジェリア生れ。 フランス人入植者の父が幼時に戦死、不自由な子供時代を送る。 高等中学の師の影響で文学に目覚める。 アルジェ大学卒業後、新聞記者となり、第2次大戦時は反戦記事を書き活躍。 またアマチュア劇団の活動に情熱を注ぐ。 以後、持病の肺病と闘いつつ、『転落』等を発表。 東京生れ。 東京帝大心理学科中退。 岸田国士に師事、バルザック、サンド、メリメ、カミュ等、多くの仏文学を翻訳紹介。 戦後創元社編集長を務めた 本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです 『ペスト』は、『異邦人』に続いて刊行されたカミュ第二の小説です。 アルジェリアのオランの町にペストが流行し、閉鎖された町の中でもがく人々を描いた小説です。 この小説は、異なる主義主張や性格を持った登場人物たちが織り成す群像劇だといってよいです。 神に頼らず敗北者の側に立つリウー、理解するためにペストと戦うタルー、理念ではなく幸福を追求するランベール、ペストの渦中で上機嫌になっていくコタール…など、様々な登場人物の言行が静かに綴られています。 私は『ペスト』という題名を見て「町中がペストで大混乱になったり、人々がむごたらしく死んでいく様子を描いたパニック映画のようなお話なのかな?」と思って読み始めましたが、読んですぐにその予想は裏切られました。 カミュはペストに襲われた町の様子を、驚くほど淡々とした文体で描いています。 ペストという事象を用いてエンターテイメントではなくあくまでも純文学を書こうとするカミュの真面目さが感じられる小説でした。 この小説の途中では、 「まったく、ペストというやつは、抽象と同様、単調であった」 p. 132 「まったく、ペストは、病疫の初めに医師リウーの心を襲った、人を興奮させる壮大なイメージとは、同一視すべき何ものももっていなかった。 それは何よりもまず、よどみなく活動する、用心深くかつ遺漏のない、一つの行政事務であった」 p. 265 という表現があります。 ペストが非現実的で抽象的なもの、単調な事務のようなものとして表現されているのです。 また、この小説の終盤では、死刑や殺人がペストにたとえられています。 死刑や殺人によって人の歴史が作られていることをタルーは嫌悪しており、「誰でもめいめい自分のうちにペストをもっているんだ」とタルーは言います p. 376。 人間の内部に巣くう根源的な悪が、ペストに象徴されています。 『異邦人』はムルソーの言動がとても個性的で度肝を抜かされる作品でしたが、『ペスト』はペストがとても独創的に表現されていて面白い作品だと思いました。 "僕は、災害を限定するように、あらゆる場合に犠牲者の側に立つことにきめたのだ。 彼らの中にいれば、僕はともかく探し求めることはできるわけだーどうすれば第三の範疇に、つまり心の平和に到達できるかということをね"1947年発刊の本書は、不条理に直面し蝕まれていく人間性を群像劇的に描き共感を呼ぶ。   個人的には著者の本はレジスタンス活動の際に書き上げたとされる『異邦人』しか読んでおらず、この著者の世界的名声を決定づけた、同じく代表作である本書は未読であった事から今回手にとりました。   さて、本書はメルヴィルの『白鯨』に感動した著者が【過ぎ去ったばかり】のナチス闘争の体験を架空の大都市におけるペスト【悪】の発生、それに抗う市民たちの記録として淡々と洗練した筆致で寓意的に描きこんでいるわけですが。   近年、東日本大震災他数々の災害に見舞われている島国に住み、また何度かの被災地でのボランティア経験を持つ自分と私的に重ね合わせては【行政の対応の遅さ、孤立状態での対応】に架空とは思えない迫真さ、リアリティを感じ、それぞれ神、社会、人間の【正義】を振りかざし、立場的に【合意は出来ずも理解し合おうとする】登場人物達に実際の身近な人物を当てはめてイメージしながら 漫画『進撃の巨人』でも良いかも 最後まで圧倒的に没入して読み終えました。   また。 最後に明かされる物語の語り手が、不条理な脅威に圧倒的に敗北し続けて、数多くの犠牲者が出たにも関わらず【黙して語らず】ではなく、あえて人間の中には【軽蔑すべきことより賛美すべきものが多い】と希望を込めた記録として残したとする本書の幕引きも読後感として清々しくて素晴らしい。 安っぽいセンセーショナルさ。 華々しくヒーローが活躍するような描き方をしていない事で【読み手それぞれが共感を持てる】普遍性も含めて時代を超える名著だと実感しました。   様々な立場で防災や減災に取り組む、または関心のある誰かへ。 また洗練された群像劇作品を探す誰かにもオススメ。 翻訳が古いせいか、文章が頭の中に入ってきづらく、言い回しが難しくて、読んでいてもどかしかった。 しかし、おそらくカミュの文体がそういうインテリチックなのだろう。 ぼくには合わなかった。 解説によれば、この作品は六年もかかったいわば労作であり、それはペストに関する知識や小説の複雑な構造に現れていると思うが、ぼくには「異邦人」のような強烈な独創性を感じることができなかった。 確かに、ペスト=戦争=殺人、というとらえ方にカミュ独自の視点があることはそうなのだが、そもそも毎年のように天災に見舞われる日本に暮らすぼくにとっては、ペストもまた天災以上のなにものでもなく、それがどんなに人間の姿形を醜く変形させ、人間を徹底的に苦しめた末に死に至らしめるのだとしても、ぼくはそれを悪と見なすことができない。 もちろん、天災は嫌だし、憎い。 しかし、その憎悪は人間を襲った残酷な運命に対してであって、自然の猛威に対してではないのだ。 ペストらしき疫病がもたらす不条理感に対する人々の姿勢を人の目線から描いた作品。 読み進めていく中で面白いと感じたのは、それが画一的でないという点です。 ペストに対して懸命に闘おうと試みる人、ペストを気にかけず振る舞おうと試みる人、 ペストが襲来したことによってむしろ晴れやかな気分になった者さえも描写されます。 このような姿勢が個々人のどのような境遇によって生じるのか、読み進むにつれて明らかになります。 月次な言葉を使えば多様性ということになりますが、この多様性を表現するにあたって、 多くの小説がとるような神の視点を用いることなく当事者一人の目線から惨状を描くことにより、 不条理が全くの他人事でないということを読者に知らしめてきます。 好みではないのですが、必要に迫られて泣きながら1週間で読みました。 重苦しい気分で読み終わりましたが、読んだら読んだで充足感はありました。 仏領アルジェリアの要港で1940年代に起こった架空のペスト禍について最後には書き手が明らかにされる淡々とした記録と、そこに別の市井の人物の非常に主観的な手記が挿入されて、描かれていきます。 ペストの前兆であるネズミの大量死から始まり、病人の発生、行政の事なかれ主義、そして市の閉鎖をさっと描いた後で、主人公リウー石を中心に病禍と戦う人々、ペストが蔓延していてもわが身は安泰と安堵し、密輸に走り、病禍を楽しむ人物が描かれます。 もっともその人物はペスト終焉後に報いを受けますが・・・。 多くのお民衆の姿が挿入的に描かれます。 その落差が変な感じですね。 町を脱出する機会を目前にしながらそれをやめた人物の気持ちの変化を読み取れず、残念無念。

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カミュ『ペスト』だけじゃない 要再注目!いま自宅で読みたい本はコレだ 【対談:岡崎武志氏×永江朗氏】(中央公論)

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危機にこそ先人に学ぶ 岡崎》新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、カミュ『ペスト』(宮崎嶺雄訳、新潮文庫)が売れているそうですね。 永江》先日チェックしたらAmazonでは品切れ、私が見た限り、街の本屋のどこにも在庫がありませんでした。 岡崎》久しぶりやなあ、本屋から消えるほど売れる本の話を聞くのは。 永江》大きな社会的事件や事故がきっかけで特定の本が売れるというケースは、わりとあるんですよ。 東日本大震災の後には吉村昭『三陸海岸大津波』(文春文庫)が話題になり、鴨長明『方丈記』が災害記録文学として注目されました。 ただ『ペスト』は、虚構なんですよね。 石弘之『感染症の世界史』(角川ソフィア文庫)が売れるのはわかりますが、『ペスト』は一九四七年に出版されたフィクションであって、もともとは全体主義やファシズム、共産主義などのメタファーとして読まれていたわけでしょう。 岡崎》確かに、小松左京『復活の日』(角川文庫)なんかのほうが、時代的にはリアルな気がする。 永江》でも、実際に感染症が流行ってみると、あまりにも似た状況が起きている。 流行初期には医師会のボスが「ペスト」と言わないようにしようとするとか、行政の初動が遅れるとか、街を封鎖したら人々のフラストレーションが極限まで溜まっていくとか。 半世紀以上前の小説ですが、今の私たちにリアリティをもって迫るものがある。 岡崎》現実的な危機や恐怖は、読書の入り口としては間違っていない気がするね。 永江》先人に学ぶ、ということですよね。 震災後の原発事故では東京電力側が「想定外だった」と連呼しましたが、明治、昭和の大津波の状況や人々の行動を記録した『三陸海岸大津波』を読むと、決して「想定外」ではなかったとわかる。 みんなが忘れてしまったような過去の事実をきちんと伝えてくれるのは、書物のすごさだと思います。 一発屋と定番作家 岡崎》二〇〇八年頃「年越し派遣村」に関連して、小林多喜二『蟹工船』が注目されたこともありましたね。 新潮文庫版が一年で五〇万部売れたとか。 文庫と漫画の総計が八〇万部! Tシャツや「蟹工船弁当」まで出た(笑)。 〇八年一月、高橋源一郎と雨宮処凛が行った『毎日新聞』での対談で雨宮さんが「『蟹工船』は今のフリーターの置かれている状況と似ている」と発言したのがきっかけだったそうですが。 永江》バブル崩壊直後にはフリーター=気楽でいいよね、というイメージだったのが、景気の悪化に伴ってワーキングプアや貧困が深刻化し、全然気楽じゃない、ひどいぞ、と。 その流れでプロレタリア文学への注目が高まり、「蟹工船」ブームにつながったのでしょう。 岡崎》しかし他のプロレタリア文学、例えば小林多喜二を描いた戯曲、井上ひさし『組曲虐殺』(集英社)にまで手が届いたとか、中野重治を読み直す人が増えているという話は聞かないから、どこか一発屋っぽい。 もちろん、普段読まない人が読んでみようかなと思い、読んだら意外と迫力があって面白いとなれば、それでいいんだけど。 継続した読者にはならないという意味では、タピオカのブームと同じちゃうかな。 (笑) 永江》今回『ペスト』を手にとった人には、篠田節子『夏の災厄』(文春文庫)も読んでもらいたいな。 これは篠田さんが八王子市役所勤務時代の経験から書いた小説で、日本脳炎に似た伝染病に突如襲われた郊外の街が、行政の後手後手の対応のせいでパニックになるという話です。 岡崎》カミュといえばサルトル、サルトルといえばボーヴォワール、みたいな方向性もありますよ。 カミュをきっかけに同じ実存主義文学の作家を芋づる式に知ってもらえると、僕らとしては非常にうれしい。 永江》継続的な人気ということで言うと、太宰治ブーム。 あれは定期的に来るよね。 岡崎》ああ、ありますね。 永江》しかも不思議なのは、ほぼ全作品が「青空文庫」(著作権の消滅した作品、または著作権者が許可した作品をインターネット上で無料公開したサイト)でタダで読めるのに、本が売れているということ。 これはまだ青空文庫に収録されていないけれど、夏の文庫フェアでは『人間失格』は集英社、新潮、角川に入っている。 岡崎》やっぱり紙の本を手元に置いておきたいんだ、というのは救いですね。 永江》二〇〇七年夏、集英社文庫が『人間失格』に『DEATH NOTE』で人気の漫画家・小畑健によるイラストのカバーをつけたら一ヵ月半で七万五〇〇〇部売れたとか、芥川賞を受賞した、お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹が心酔しているというので話題になったり。 そもそも太宰人気の基礎はずっとあるんですよね。 遺体が発見された日を「桜桃忌」として今でも墓参が絶えないのは、その証です。 だからこそ何かきっかけがあると、大きなリバイバルにつながる。

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カミュの『ペスト』に関して(1): 「青空文庫」の作家、高野敦志の世界

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