ミトコンドリア 遺伝子。 父親・母親から受け継ぐ遺伝。二つの遺伝子の行方について│トイコタエ

日本人はどこから来たのか? ~MYCODEセミナー「ミトコンドリアDNAでたどる日本人のルーツ」【レポート】

ミトコンドリア 遺伝子

概要 [ ] ミトコンドリアDNA は、の持つなどに関するが主に含まれており、ミトコンドリアが分裂する際にが行われる。 ミトコンドリアに必要な情報の一部はDNAに含まれており、ミトコンドリアはの外で単体では存在できない。 また逆に細胞が必要とするを、を利用して取り出せるのはミトコンドリアの働きによっており、細胞それ自体もミトコンドリアなしには生存できない。 これらのことはミトコンドリアが由来であるというの傍証となっている。 一般にと呼ばれるミトコンドリアのによって起こるも、ミトコンドリアDNAの異常に起因するものと、核DNAの異常に起因するものとがある。 ミトコンドリアDNAの多型は、しやすさの差に関係していると考えられている。 さらに、近年ではミトコンドリアDNAにおける変異が、がんの転移能に影響を与えているという報告もある。 しかしDNA分子の大きさや形状、コードされている遺伝子の数や種類などは、生物によって大きく異なる。 遺伝子地図などではミトコンドリアDNAが環状に表現されることが多い。 しかし物理的に環状のミトコンドリアDNAを持つ生物は、高等動物やなどごく一部に限られる。 多くの生物ではDNA分子が、環状の基本構造からトイレットペーパーを引き出すかのように連続的に複製され、その結果ミトコンドリアDNAの全ての部位が二重螺旋構造であり、大部分が基本単位が何度も繰り返す線状反復構造になっている。 また少数派ではあるが、常に線状のミトコンドリアDNAを持つ生物も存在している。 高等動物 [ ] ヒトを含む高等動物のミトコンドリアDNAはいずれも比較的似通っており、大きさ16 kb前後の単一の環状DNAで構成されている。 遺伝子は37あり、その内訳は、呼吸鎖複合体のサブユニットが13、tRNAが22、rRNAが2となっている。 遺伝子の配置は多種多様であるが、ではからまで基本的には同じ配置になっている。 、などは遺伝子の種類がわずかに異なり、はゲノムが線状であるなど例外的である。 類のミトコンドリアゲノムは全く異なる構成をしており、それぞれが1ないし3の遺伝子を持つ3-4kbという小さな環状DNAが18種も存在している。 陸上植物 [ ] 陸上植物のミトコンドリアDNAは数多くの反復配列を含んでおり、によって様々な構造のDNA分子が生じている。 しかし制限酵素を用いた解析によって再構築した「マスターサークル」分子を元来のミトコンドリアDNAと考えることができる。 マスターサークルの大きさは最小でも200 kb前後と大きく、最大のものでは2400 kbにもなっている。 高等動物のミトコンドリアDNAに含まれている遺伝子以外に、のタンパク質サブユニットをコードする遺伝子が10以上含まれており、合計の遺伝子数は100弱にもなる。 また遺伝子中にグループ2イントロンが多く見出されることが特徴的である。 特徴的な生物 [ ] レクリノモナス Reclinomonas americana は、原始的なミトコンドリアDNAを持っていることで有名になった原生生物である。 およそ70kbの環状DNAにタンパク質とRNAを合わせて98遺伝子があり、そのうち18は他のミトコンドリアDNAには全く見付からない。 特に細菌と同様のRNAポリメラーゼ遺伝子群が存在する点は特徴的である。 これまで知られている限り最も小さなミトコンドリアDNAを持つ生物は、やを含むの原虫である。 大きさわずか6 kbの線状ゲノムであり、電子伝達系に関わる3つのタンパク質遺伝子と、断片化されたリボソームRNA遺伝子群のみが存在している。 tRNAはミトコンドリアDNA上には全く存在しないため、すべてが細胞質から輸送されていると考えられている。 のミトコンドリアでは、20kb程度の環状DNA(マキシサークル)に20前後の遺伝子が存在している以外に、1kb程度の小さな環状DNA(ミニサークル)が1万以上ある。 マキシサークル上の遺伝子情報はそのままでは翻訳することができず、無数のミニサークルから転写されるガイドRNAを使ってRNA編集を行う必要がある。 コドン表 [ ] ミトコンドリアはミトコンドリア核内で保管元となるDNAから遺伝情報をに 転写した後、mRNAはミトコンドリアのリボソームに移動し、アミノ酸の付いたの3塩基がmRNAのと相補的に結びつくことで、tRNAが運ぶアミノ酸の配列が決まり、目的のタンパク質を合成する。 これら一連の 翻訳過程は細胞の遺伝子翻訳とほとんど同じであるが、共に20個のアミノ酸を規定する64個の組み合わせの内、7ヶ所に対応するアミノ酸が異なっている。 この翻訳過程でのmRNA上にあるとそれが指定するアミノ酸との対応関係を示した「コドン表」を以下に示す。 第1塩基 第2塩基 第3塩基 U C A G U U C チロシン 終止コドン トリプトファン 終止コドン A G C U C A G A U C メチオニン イソロイシン アスパラギン リジン セリン アルギニン A () グリシン アルギニン G G U C A G 伝達様式 [ ] ミトコンドリアはのに約25万存在する。 基部にもわずかに存在するが、一般的に精子由来の物は前後に何らかの形で排除される。 そのためもともとの卵子の中にあったミトコンドリアのみが後も引き継がれることになり、ミトコンドリアDNAは常にすると考えられる。 から受け継いだという例も1例報告されている が、そのはミトコンドリア複合体の不足と重いを抱えている。 のに含まれるミトコンドリアは、一般に受精後の中で死滅してしまうとされる。 精子由来のミトコンドリア(ミトコンドリアDNAを含む)は、後での中で破壊されるようにによる印が付けられることがに報告されている。 時に、例えばハイブリッド種において、このプロセスは失敗に終わる。 ミトコンドリアDNAを利用した研究 [ ] ミトコンドリアDNAは、母親から子に受け継がれる特性を生かして、を追跡するための研究に利用される。 有名なものには著『イヴの七人の娘たち 原題 The Seven Daughters of Eve 』 がある。 現代のはほぼ7つのクラスター(群)に分けることができ、理論的にそのクラスターの元となる配列をもたらしたのは、の7人の女性だと考えられる。 更にアジアやアフリカ人のも検証したところ、現代に生きる世界中の人々の母系先祖はアフリカの1人の女性であると推定することができるという、いわゆるの理論も同様の分析に基づくものである。 但し、ミトコンドリアDNAは母系をたどることしかできないため、人類の系統や移住の足跡をたどるためには、学問的には不十分である。 そのため人類の足跡をたどるためには、父系の系統のみをたどることができるの分析と併せ検証するか、或いは人類の核DNAそのものを分析する必要がある。 一例として、のを調査したところ、ミトコンドリアDNAは、ほぼ全ての人が系の特徴を持っていたが、Y染色体はほぼ全てが系(特に)に特徴的なタイプのみであった。 逆にの諸民族のミトコンドリアDNAはほぼ全てコーカソイド系であったが、Y染色体及び核DNAにはモンゴロイド系の特徴を持っている人々が少なからず発見された。 ののであるは、が最初に出アフリカを果たした時から、約5万年にも及ぶ人類の移動経路を明らかにするためにやミトコンドリアDNAなどのデータを用いて研究を行っている。 「」も参照 また、犯罪の現場で毛髪が見つかったがが行なえないような場合に(自然に落ちた毛髪などは、部分にDNA鑑定の対象にするが残っていない事がある)、ある人物を容疑者として捜査の対象に含めておくべきか、外してもよいかを決定する判断材料として、内のミトコンドリアDNA(毛髪内でもミトコンドリアDNAは残存している)が利用される。 によるの研究がすすめられた時期は「」と呼ばれる現象が的にまだ考慮されていなかったため、ミトコンドリア遺伝子が「母親由来のゲノムからのみ発現する遺伝子群(Maternally expressed genes、MEG)」であるとすれば、男性の身体では単に非発現状態で休眠しているだけであり、この論は齟齬を含んでいるのではないかという人があるが、父親と母親から一つずつ一対の遺伝子を受け継ぐことになっている核DNAで、一方の遺伝情報を発現させるために起こる遺伝的刷り込みが、環状のミトコンドリアDNAに対してどう関係するのかという疑問がある。 関連項目 [ ]• 出典 [ ]• Gray, M. , Lang, B. , and Burger, G. 2004. Ann. Rev. Genet. 38: 477-524. Jeffrey L. Boore 1999. Nucleic Acids Res. 27 8 : 1767-1780. Shao R, Kirkness EF, Barker SC 2009. Genome Res. 19 5 : 904-12. Wolstenholme, D. and Fauron, C. In Levings, C. and Vasil, I. The molecular biology of plant mitochondria. Advances in cellular and molecular biology of plants. Kluwer Academic Publishers. 黒岩常祥著 『ミトコンドリアはどこからきたか』 日本放送出版 2000年6月30日第1刷発行• Schwartz, Marianne, and John Vissing 2002. New England Journal of Medicine 347 8 : 576-580. Sutovsky, Peter, et al. 1999. Nature 402: 371-372. Thalmann, O. , et al. 2013. PDF. Science 342: 871-874. 2015年12月17日閲覧。. 参考文献 [ ]• Hayashi, J. , et. "ROS-generating mitochondrial DNA mutations can regulate tumor cell metastasis. " Science. 2008 May 2;320 5876 :661-4.

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m.4296G>A遺伝子変異による成人ミトコンドリア脳症の1例

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さらに、アミノグリコシドによる内耳障害などもよく知られています。 一般的には、それぞれの病型に特徴的なミトコンドリア遺伝子変異が同定されますが、必ずしも臨床診断と遺伝子変異とが一致する訳ではありません。 そのため、ミトコンドリア病が疑われた場合には、まず、高頻度に検出される変異を広く検査することが重要であると考えられています。 本スクリーニングセット検査では、日本人のミトコンドリア病に比較的高頻度に認められるミトコンドリア遺伝子の10種類の点変異をInvader法により解析致します。 (埜中征哉.ミトコンドリア病を疑う臨床症候.Clinical Neuroscience 24(2006)より一部改変) 検出可能な遺伝子変異 1.以下の変異につきましては、従来どおり、単独あるいはセット項目での依頼が可能です。 ミトコンドリア遺伝子1555変異 (依頼コードNo. 5844) ミトコンドリア遺伝子3243変異 (依頼コードNo. 4022) ミトコンドリア遺伝子3項目セット (依頼コードNo. 9234) ミトコンドリア遺伝子3460変異 (依頼コードNo. 5841) ミトコンドリア遺伝子11778変異 (依頼コードNo. 5842) ミトコンドリア遺伝子14484変異 (依頼コードNo. 5843) 2.ミトコンドリア遺伝子3243変異につきましては、従来どおり定量的な測定を行い、 変異型存在比率(%)の形式でご報告致します。 基準値は1%以下です。 [ 参考文献 ]• 埜中征哉.ミトコンドリア病を疑う臨床症候.Clinical Neuroscience 24:650-652 (2006)• 後藤雄一.MELAS.日本臨床増刊号 ミトコンドリアとミトコンドリア病 60:287-291(2002)• 後藤雄一.MERRF.日本臨床増刊号 ミトコンドリアとミトコンドリア病 60:292-295(2002)• 山形崇倫・桜井真里子.NARP.日本臨床増刊号 ミトコンドリアとミトコンドリア病 60:298-301(2002)• 真島行彦.Leber病.日本臨床増刊号 ミトコンドリアとミトコンドリア病 60:282-286(2002)•

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細胞内の小器官であるミトコンドリアが保有している固有・独自のDNA(デオキシリボ核酸)。 ヒトミトコンドリアDNAの全塩基配列の長さは1万6569塩基対で、環状二重鎖構造をとり、計37種類のミトコンドリア遺伝子(ミトコンドリアゲノム)をコードしている。 細胞の核内に染色体として存在するヒトの遺伝子(ゲノムDNA)、すなわち核のDNAは基本的に両親由来の2コピーしか存在しない。 しかしヒトミトコンドリアDNAは2000コピー程度存在するので、酸化などの傷害を受けやすく、また修復活性が弱いことなどから変異しやすい。 そのため多型性が高く、微量試料や汚染・分解されている陳旧試料からも検出しやすい。 ミトコンドリアは細胞のエネルギー代謝、遺伝的に正確にプログラムされている細胞死にかかわるアポトーシス、さらに生殖細胞の形成に関与している。 ミトコンドリアDNAは卵細胞のみを通して伝えられる細胞質遺伝をとり、受精後、子の遺伝形質は母親の生殖細胞を通してのみ発現する。 すなわち、母親がもつ病的形質は男女の区別なく、すべての子に伝達されるが、その子が男であると、その形質は次世代に伝達されない。 これは卵子に比べ精子のミトコンドリアDNAが極端に少ないことや受精の際に排除されることなどがおもな原因とされる。 そのため親子鑑定では父子鑑定には使えないが、母子鑑定、母方をさかのぼった血縁の鑑定に利用できる。 また陳旧試料からも検出しやすいので、歴史的試料を対象とする研究的な鑑定にも利用される。

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